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小さな四角のその中に
きみの手はどんな時でも
四角い無機質を握りしめている
平面に映し出される虚像を眺める
楽しいのかな
流れていく画面を見て触れて
きみは笑ったり泣いたり怒ったり
くるくると表情が変わる
僕の前では氷のように固まっているのに
疲れないまま、画面を見続ける
疲れないまま、画面に触れる
きみは僕の死さえも
小さな画面に映る文字か画像で知るのだろう
その目で平面の僕を見て
その指で平面の僕に触れる
四角の無機質のその中に
何があるっていうの?
きみはうつろを憎んでいた
きみ自身のうつろを埋めるために
必死でデータを詰め込んだ
でも僕はきみのそのうつろを愛していたんだ
もう、さよならだね
四角い無機質を握るきみ
出て行く僕の背中も見ない
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