雨よ、降れ

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 5時間目が終わるころには、教室の中でも音が聞こえるほどの雨になっていた。  やった。祈りが通じた。  今日は掃除当番も係りの仕事もないから、帰りの会が終わるとランドセルを背負って、梢は昇降口へ向かった。  周りの子たちは、友達とおしゃべりをしながら、今日は何して遊ぼうか、誰それの家に集合ね、とか楽しげに笑っている。  でも、梢はいつも一人だから、今日も誰にも話しかけられずに廊下を歩いた。  寂しく思うこともあったが、今日はあの傘がわくわくをくれるから平気だ。  そそくさと靴を履き替え、壁際に置かれている傘立てを覗き込む。――そこには、パールピンクの柄の、梢の傘がつんと澄まして刺さっていた。  思った通り、かわいくってすごく目立つ。  こんなかわいい傘、他の誰も持っていない。  きっと、みんなが注目すると思ったんだ。  ちらちらと周りを見回して、自分の傘なのにおずおずと手を伸ばす。  そのときだった。
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