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退屈な算数の授業中。
梢は頬杖をついて、教室の窓の向こうに目をやった。
どんよりと曇った空。
じめじめしていて、ノートが鉛筆を握った手に貼りつく。
朝の天気予報では、午後から大雨が降ると言っていた。
でも、梢の心はわくわくしていた。
今日は、農業をしているおばあちゃんに我が儘を言って買ってもらった、新しい傘を持ってきたからだ。
楽しみだな。
ピンクで、縁にフリルがついていて、そのへんのスーパーじゃ売っていないかわいい傘なんだ。
持ち手はパールピンクで、くるりと花と蔦が巻き付いた凝ったデザインだし、宝石みたいなボタンを押すと、パッとワンタッチで傘が開く。
だけど、雨が降らないと、傘はさせない。
だから、梢は全力で「雨よ、降れ!」と祈っていた。
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