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間一髪
「おい!! あぶねぇだろ!!」
車の窓を開けて、運転手は怒声を轟かせる。母親は顔面蒼白のまま謝り、ノゾムをタイヤすれすれから手繰り寄せた。
運転手はご立腹なままだったが、ノゾムの泣き声を聞いていられず、すぐに立ち去った。
ノゾムの体をあちこちみるも、へたりこんだ際の擦り傷程度で、車にぶつかったようではなかった。
「お母さん心配したのよー!!」
母親も一緒になって、泣き始める。
「なんで止まらなかったの?」
ノゾムは言葉に詰まらせながら口を開いた。
「後ろ、見たらね、知らない、おじ、さんが、追いかけて、きてた、から」
母親は、意味がわからず、首をかしげる。
この走った一直線には、ノゾムと母親しかいなかったはずだ。
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