1章

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1章

 横浜市金沢区。ここはなだらかな丘陵地帯に海風が吹き抜ける、爽やかな住宅街です。  都心からもほど近く、大勢の人が暮らしているこの街で、大津先生は内科医院を開いています。 「先生、ドライアイの薬を切らしてしまったんてすよ。そのためだけに眼科まで行くのも億劫で。こちらで代わりに出してもらえないかしら」 「ハイハイ、構いませんよ」  大津先生がこうやって困っている患者さんの訴えを聞いてあげるのは、日常茶飯事。  おかげで診察室には今日も大勢の患者さんが集まり、先生は大忙しです。  でも大津先生は嫌な顔一つしません。患者さん達が喜んでくれることを、何より嬉しく思っているからです。
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