好青年は言葉攻めがお好き

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好青年は言葉攻めがお好き

 ああ、宮西(みやにし)さんは相変わらず楽しそうだな。  全体を見回すふりをして、そっと眺める。  忘年会、新年会、送別会、歓迎会、その他諸々。旧い体質の会社なので、その類の飲み会がきっちり執り行われる。  今日はめでたい新年会。一通りお酌をして、話が盛り上がっているのを確認し、私は座って黙々と食べる。  今日は終業間際に先月分の伝票処理を頼まれて大変だったのだ。私のせいじゃないけれど、上に対応するのは私だ。なんとか必死に取り繕って、穏便に済ませたけれど、疲れた。本日の営業は終了しました。 「渡辺(わたなべ)、野菜好きだよね。はい」  黒髪眼鏡の同期、松本(まつもと)くんが私の前に大皿を持ってくる。少しだけ残ってる取り合わせの野菜。いつもぶっきらぼうな彼にしては、言葉数も多い方かもしれない。 「……ありがとう」  取り皿にさっと野菜を入れ、大皿を返すと、なんだか面食らったような表情を浮かべられた。 「いつも食べてるからさ……」 「野菜は肌にいいし、最近高騰してるから、一人暮らしにはありがたくて」  嘘ではないけれど。でもそれ以上に、大皿を片づけたいのだ。お店の人が次のお皿を持ってきて、置き場がなくて困っていても、誰も何もしないから。
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