おまけ その2-1  ハシビロコウがたいせつ・前

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 とりあえず、できることからすべき。  別れた彼女の残骸をなんとかしよう。服、下着、靴、化粧品、ゲーム、等々。「置いている荷物は全部捨てていい」と言われた。けれども、俺は全て綺麗に梱包して、発払いで配送手続きをした。これは別に親切心じゃない。  潔いかのように聞こえる別れた彼女の言葉。でも、俺はこんな気分になったのだ。振るだけじゃ飽き足らなくて、ダンボール三箱分、俺に片づけさせるのか。自分のゴミの処分くらい、自分でしてくれ。  俺はイメージほど、爽やか好青年じゃない。  残された荷物が、なんだか別れた彼女の発言と重なって見えて。別れた彼女は不満を溜めていたと言った。都度言ってくれればなんとかしたのに。言ってくれと思うのは、俺のわがままなんだろうか。  ただ、俺は以前にも、付き合っていた彼女の気持ちを言えなくさせたことがあった。『私が、あなたにふさわしくないから……。私は、すごく、駄目な人間で……』、だから別れたいのだと、とても苦しそうに言われた。  そんな気はまるでないのに、大切な彼女を追い詰めてしまうのは、ものすごくつらい。俺はどうすればよかったんだろう。
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