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朝起きてすぐ目に入ったのは、眠っている航平くんの姿だった。
無防備で無邪気な表情。可愛くて、見ていて飽きないな。そんなことを思いつつ眺めていると、航平くんの瞼がゆっくり動き、開く。起きた。
私を視認したと思しき瞬間、航平くんは一瞬目を見開いて、すぐに優しく細めた。
「おはよう。愛佳ちゃん」
「おはよう。航平くん」
そのままゆっくりくちづけられ、ぎゅっと抱きしめられた。
目を覚ますと隣に航平くんがいて、おはようと挨拶を交わすことができる。しかもキスと抱擁つき。なんて贅沢で素敵なんだろう。私は航平くんの腕の中で、じっくり幸せをかみしめた。
しばらくのんびりと過ごした後、航平くんはブランチを作ってくれた。トーストとサラダとスパニッシュオムレツ。どれもとてもおいしかった。
そして、食後に淹れてくれたのは、やっぱりチャイ。
「昨日も飲んだけど、俺、チャイ、好きなんだよね」
「うん。私も好きだよ。なんとかおいしくしようと、創意工夫して生まれたところがいいよね」
私がそう返すと、航平くんは少し上を見て考えている様子だったけど、はにかんだような笑みを浮かべて言った。
「そこもいいけど。チャイはインドの庶民にとても愛されていて、大切な人となかよく分け合って飲むものなんだって。だから、俺は愛佳ちゃんと一緒に飲みたいなって思いながら、淹れてた」
単に私がミルクティー好きで、リクエストされたからってだけじゃなくて。
私の頬を拭いながら、航平くんは、「やっぱり言葉にしないといけないことはある」と言った。
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