ハシビロコウによろしく

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 お昼は航平くんの希望でコロッケを揚げた。ハシビロコウを見ながら食べたいと言われて、笑ってしまった。可愛いリクエスト。キャベツと一緒にコッペパンに挟んでコロッケパンにしたいって提案してくれて、ああ、そういう風にすればいいんだって思った。  航平くんは「ありきたりな発想しか出てこない」と謙遜するけれど、わかりやすいし、視点に他者への思いやりを感じる。私はそういうのがいいし、嬉しい。  ミルクティーは魔法瓶での持ち運びが難しいから、今日の飲み物は私が淹れたほうじ茶だ。日本茶は私の方が淹れるの上手いって褒められる。小学生の頃から淹れていて、慣れてるだけだと思うけど。  航平くんは庶民的なものが好きだ。地味でささやかなものにも、優しい目を向けてくれる。「生活を支えている質実剛健なものに憧れる気持ちが強いし、日常にあるものが俺にとってはとても大切で愛おしい」と言って。  今日は日差しが強すぎず、寒くもなく、とても過ごしやすい。本当に、ちょうどいいお天気。  It is fine today. 航平くんと一緒に過ごす時はいつも、そう思うんだろう。これからもずっと。  私達がなかよくコロッケパンを食べるのを見て、ハシビロコウは大きく口を開けて笑った。
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