おまけ その2-1  ハシビロコウがたいせつ・前

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 愛佳ちゃんを俺の家に連れ込んでみた。  愛佳ちゃん、と名前を呼んだら、なんだかやけにびっくりされた気がする。俺が名前を覚えているのがそんなに意外だったのだろうか。  彼女が所属する庶務課には、もう一人渡辺さんがいる。五十代後半の女性だ。「若い」「年嵩(としかさ)の」という呼び分け方をする人もいる。でも、俺はそういう呼び分け方は気が進まなかったので、下の名前を覚えた。ただそれだけの話。「あいか」かな? と思っていたら、「まなか」だったというのも、覚えやすかった理由の一つかもしれない。一度間違えたことは、忘れない。  実際の行為は断片的にしか覚えていない。  別れた彼女に最後の方は拒まれていたから、ひさしぶりのセックスは気持ちよかったし、処女を征服するのも楽しかった。  異性愛者の男なら、程度の差はあれ、女性と都合よくヤリたい気持ちは持っているものだと思う。愛のある雰囲気に、若干の凌辱っぽさを混ぜ込んで、処女をじっくり手籠めにする。そんなお楽しみ妄想を詰め込んだ感じの一夜。
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