11話 愛情プラス

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 うう、これはちょっと……キスだけでは済まなそうな。体が妙に熱を帯びてきて、持て余す。 「島田……ちょ……」 「――頭痛、治りませんか?」 「……は……?」  言われて気づく。これは単なる愛情表現ではなく、島田なりにきちんとした目的があったのだ。確かに頭痛が消えていた。  もしかして島田のキスのせいなのか。ものは試しにと言ったのは、このことか。  唇が離れて、抱き寄せられていた腕が解かれるのを残念に思う。ぎゅっと島田のシャツを握り締めていた自分に気づいて、ゆっくり手を開いてみる。手の中でくしゃくしゃになってしまった。どんだけ手汗かいているんだ。 「……ごめ……悪かった。取り乱した」  理解の範疇を超える内容にだいぶ感情的になってしまった後悔が押し寄せてくる。島田に触れられていたところが熱を帯びている気がして、どうしたら良いんだこんなの。 「多分今のキスだけだと効果はそんなに持続しません。まだいろいろ見えるでしょ」 「……見え……」  キスに溺れすぎて、まったく見えていなかった。普段はほぼ息を吸うように見えているんだけどな。意識してみる。  島田の天使と悪魔がうっすらとだが見えてきた。相変わらずわちゃわちゃと言い争っている。 「やるなあウリエル。童貞のくせになんだあのエロエロなキスは。そこで紡久さんの服脱がして持ち込んだらいいんだよ! 律儀にキスだけで離れてんじゃねえ」  まあな……俺もそれ思うわ。何あのエロいキス。誰かと練習してんのかよ。誰とだよ。 「うんうん……ウリくん頑張ったね。理性的で偉いよ! エッチはまた日を改めて、よく話し合ってからにしよ」  よく我慢したよな。俺だってあのまま続きされたらなだれ込む自信しかない。 「馬鹿野郎! 紡久さん発情してんじゃねえか。こんなとこで止めたらお互いムラムラして体に悪いんだよ。ここまで来たら勢いだ。んなこともわからんのかこのちびっこ! 折角ゴム隠し持ってんだから、それ使うから大丈夫って言いくるめろよ」 「だって……意味ないんでしょ? ウリくんの体液に抑制効果があるんだから……単なる普通のエッチになるよ……? する必要なくなるよ」 「意味なんてあるに決まってんだろ。愛情表現一択! 今日はとりあえず紡久さんの体に己の欲望を刻め! 話はそれからだ。あと手間だが策はある」 「うう……紡久さんだってさっき拒否するって言ってた。こういうのは信頼関係なんだよ」
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