![d5054cb7-385e-4916-9d49-50f6e5691b58](https://img.estar.jp/public/user_upload/d5054cb7-385e-4916-9d49-50f6e5691b58.png?width=800&format=jpg)
―その者、水を操る剣士なり。世に危機が迫った時その者、はるか西の地より現れん。邪悪を滅する力は、人々に希望をもたらすであろう。―
-ウォーター・タウン伝承書より-
ここは、ウォーター・タウン。かつては水の都と呼ばれ、町中に張り巡らされた水路に舟が行きかう賑やかで美しい街並みだったが。この地に巣食うあくどい土地主により、荒廃して水は枯れ現在は、無法地帯と化し
すっかり、さびれてしまっている。
裏通りを一人の旅人が歩いていた。黒髪の青年は、ふらふらと足元もおぼつかず
千鳥足で歩いてきた酔っ払いにぶつかり、
地面に倒れ伏してしまった。
青年の横を人々が行きかうが、誰一人助けようともしない。たまに立ち止まる人もいるが、
見て見ぬふりをしてまた、通り過ぎてしまう。
そんなさなか、一人の少女が近寄ってきて倒れている青年に声をかけた。
「ねえ、あんた。大丈夫なの?」
少女は青年をゆさゆさと揺さぶってみた。
「うう……」かすかに声がもれてぐーっと、腹の虫の音が響いた。
「腹減った……メシ」青年はそう、つぶやき薄目を開けまた動かなくなった。
少女は、青年の細めの割には重い身体を引きずり、歩き始める。
ジロジロと通りすがりの婦人が見ている。
「くうっ! 重い!!」少女は顔をゆがめた。
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第2話に続きます。
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