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1_4 今はサヨナラ
雪は一晩中降り続きクシナダ市内は雪原のようだった。
午後になっても残っている雪を除雪車量が片付けていく。
黒い化繊のコートを着て体温を服の中に閉じ込めた。
「シャール少佐。」
「はい」
同伴のイースとメイトの並びから一歩前に出る。
「認証キーの返還を」
首に掛けていたネックレスを査問委員の持つ箱の中に入れる。
「イース大尉」
一歩退くと次はイースが一歩前に出た。
同じく認証キーを箱の中に返還する。
「両名を本日から二か月の謹慎処分に処す」
クシナダ艦内地球連合宇宙軍クシナダ司令部を後にする。
隔壁が開く。
「メイト?」
メイトは隔壁の内側に立ち止まって出てこない。
「軍規?」
灰色の曇天下、雪原はシャーベットが溶けたよう。
水溜りの中のシャーベットを踏みしめる。
「仕方ないよ。今は」
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