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1_5 膠着した前線
「艦載機群射程距離に到達」
反物質弾の光芒が前方5光分に発生。
ブドウの房状に発生しては消え消えては発生する。
此処数日の間凍結したように動かなかった戦線。此処までに乗っ取られた艦の処分が終わり、敵の本体と接触している。
敵の艦隊の主力は「艦」と言うより「生物」のフォルムだった。
異星人との戦闘は、訓練通りとはいえ、初めての経験だった。敵に関する認識も、あれも現在同盟の異星人の物なのか?と言った誤謬が未だ艦隊内に残っていた。艦隊司令部の公式の認識は、異星人の敵の異星人であって、更に敵の本体では無いと言うものだった。
兵の間には、彼方にも二足歩行の人類上の生命が居るのだろうか、と言う比較的倫理的問題が話題になっていた。
敵艦には生物同様の熱反応があった。
反物質弾による攻撃で敵の本体の3分の1程度は消滅させられた思われた。
第一撃を加えた艦載機群第一波が帰還して来る。
光芒が残照を残して消えいて行く。
「火星に送れ」
「中央の出番が来るようでは」
敵艦隊の本体は「生物」のようだが熱に強いとか真空で生きているとかより、そもそも此方の物理的攻撃が通じていない、と言う観測結果だった。
「持つかな。増援到着まで」
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