二夜目『文字の深海』

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二夜目『文字の深海』

簡単な実験をしよう。 私は私を真白い部屋に閉じ込める。 そこは生活に必要なものは一通り揃っている。 ただ、文字だけが存在しない。 文字の無い世界で私は自我を保っていられるのか。 思い付いた事は、声に出す他ない。 声に出して、記憶に留め置くしかない。 文字を書く事すらも許されない。 声だけが言葉を形作る。 聞く相手も居ない中、 果たして私は自我を保っていられるのか? ──叶うのならば、文字の深海に溺れたい。
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