草原を後に

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緋芽は、まだ残っていた茹で卵を剥いてやる。 ピーピーは、また一口で飲み込んでしまった。 そして、まだ欲しいと、ねだる、緋芽は、乾し肉を裂いてやった。 それで満足したようだが、今度は、遊ぼうと服の端を引っ張る。 「これじゃ、覚えられやしないわ」緋芽は、魔法を覚える事は諦めて ピーピーと一緒に遊ぶ。 ピーピーが、ぴょんぴょん飛び跳ねる、丘の周りは 結構、堅めの土だったが、その先は、水が多い沼になっていて 数匹の鰐が居た。 「あの鰐、ここまで来ないよね」と、見ている、沼の先には 大きな森が有る「あの森まで行けたら、何か、珍しい果物が有るかな~」 そう思っていると、いきなり「ピーーっ!!」と、ピーピーが警戒の声を出す 「どうした?」緑が、仕事を止め、緋芽の傍に飛んで来る。 「あ、、れ、、」緋芽が、指差す先には、森から出て来たジャガーが 草の陰に隠れ、じっと息を潜めて、鰐を見ていた。 「まさか、あの鰐を捕える気なのか?」鰐は、3メートル以上の、大きな体だ いくら、ジャガーでも、無理だと、緑も緋芽も思った。 しかし、鰐の一瞬の隙を見て、ジャガーが襲い掛かり 大きな水しぶきが立ち、どちらの姿も沼の中に消える。 固唾を飲んでみていると、鰐の体とジャガーの体が、沼の中へ 見えたり、隠れたりしていたが、やがて、鰐の首に噛みついたジャガーが 息の根を止めた鰐を咥えたまま、森の中へと消えた。 「凄いな~あの鰐を捕えるなんて」緑も、驚きの声で言う。 「一撃必殺だったんだろうな」いつの間にか、帰って来ていた 青樹たちも、その様子を見ていた様で、そう言った。 「あの森の中には、危険な動物も多い様だな」と、銀も言う。 「ああ、ジャガーなんて、本で見ただけだ、本当に居るとはな~」 「それに、本に書いていたより、危険な奴だ」金と黒も言う。 そんな皆に「この丘、どうだった?」と、緋芽が聞く。 「前と、ほぼ同じだった、だけど、森から追い出されたのか 猪が、沢山居たよ」と、狩って来た猪を見せる。 「もう、狩って来たの?」「ああ、青樹が居るし、俺達の武器も 強くなったからな」黒は、自分の爪を見ながら言う。 金と銀は、その猪を捌く為に、水際へ行き 「また、卵も採って来たよ」と、青樹は、卵が入った籠を渡し 「緋芽、お土産だよ」白は、採って来たマイルの実を、緋芽にやる。 「まぁ、これ、美味しいのよね~」緋芽が、大喜びすると 「ピーピーピー」と、ピーピーも、呉れと大騒ぎし 待ちきれずに、もう、食べ始める。 「ピーピーったら、お行儀悪いわね~」と、緋芽が言った時 ず~~んと、辺りに、恐ろしい魔獣の気配が、漂って来た。 「緋芽っ」緑が、緋芽の傍に駆け寄り、皆は、武器を手にする。 「あそこだっ」森を抜けた、あの沼の上に、魔獣が居た。 頭は、水牛なのに、身体はライオンの、魔獣だった。
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