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魔獣は、足元に居る鰐たちには、目もくれず、真っ直ぐに緋芽たちの所に来る
その魔獣の、大きな頭に向かって「氷結っ」青樹が、氷の魔法を掛けた。
たちまち、魔獣の頭と肩が、凍り付いたが
魔獣は、そのまま全速力で走って来て、さっと両側に避けた
皆の間を通り抜け、大きな木に激突した。
バリバリ、ザザ~ンっと、木が折れて倒れ
皆は、折れた木に当たらない様に、更に飛び退く。
激突した所為で、魔獣の顔の氷も、バラバラと砕け散った。
氷が無くなった魔獣は、大きな水牛の角で、皆を突いたり跳ね飛ばしたり
ライオンの前足で、皆を引き裂いたりと、暴れまくる。
傷ついた者の服を掴んで、ピーピーが、離れた場所に居る緋芽の所へ
連れて来る、緋芽は、傷ついた、皆の回復に追われた。
「青樹、もう一度凍らせろっ」銀がそう叫んだが
「いや、凍らせると、硬い氷に阻まれて、こっちの攻撃も効かないんだ」
魔法も、良い事ばかりでは無かった。
「回復しながら、地道に、奴の体力を削って行くしか無いよ」
「そんな、、」魔獣の体力は、信じられない位の数値だった。
レベルが分かる様になった皆の気力が、萎えてしまう。
「やらなけりゃ、やられるだけだぞっ」黒が、皆を叱咤する。
「よ~し、朝まで掛かっても、やっつけてやるっ」
金がそう叫び、魔獣に切りかかる、だが、その太い前足で、バ~ンッと
遠くまで吹っ飛ばされた、ピーピーが、大急ぎで連れに行き
「金、しっかり!!」直ぐに緋芽が、回復してやる。
「やぁ~っ」白が投げたロープが、上手く水牛の角に、引っ掛かった。
白と、緑も手伝って、大急ぎで、そのロープを、傍の木にぐるぐる巻いた。
「グゴォ~ッ」魔獣は、渾身の力で、木とロープを引き千切る。
そのわずかな隙を狙って、青樹の大剣が、魔獣の腹を、切り裂いた。
ガクッと、魔獣が膝をついた。
「良いぞっ」しかし、それでも魔獣は、近付く皆を、引っ掻いたり
跳ね飛ばしたり、噛みついたりしていたが、だんだん体力が無くなり
とうとう、その姿を消した。
「やった~っ」皆は、躍り上がって喜ぶ。
皆は、やっと夕食を食べる事が出来たが、もう、空には月が昇っていた。
「今夜は、俺が見張りをするよ」緑がそう言い、皆は眠る。
だが緋芽は、ランプの光の下、魔法を覚えるのに必死だった。
「あまり、無理はするな」そんな緋芽に、青樹がマントを着せかける。
「ありがと、いつでも覚えられるって、後回しにしてた事を、悔やむわ」
緋芽がそう言うと「誰でもそうさ、俺だって同じだ、何度も悔やんだよ」
青樹に慰められて、緋芽の気持ちは、少し軽くなった。
もう一匹、寝ていない者が居た、白だ。
ロープを魔獣に切られたので、新しい物を作ろうとしていた。
それを聞いた青樹は、鍛冶の魔法で、ロープの材料に
鱗を取った後のドラゴンの皮を、練り込んでやった。
「出来た~~凄いぞ、これなら、どんなに強い力にも、耐えられそうだ」
白は、大喜びすると、直ぐに寝てしまった。
緋芽も、やっと解毒の魔法を覚え、満足して眠りについた。
翌日も、好い天気だった、皆は、荷物を馬に積み、先へと進む。
沼地は姿を消し、砂の多い土に変わった。
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