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「着いた~~っ」皆は、砂浜に降りると、筏を砂浜の上の方まで引き上げる。
「見た事の無い、木や草が多いな」辺りを見回して、白が言う。
「寝場所を決めるまで、荷物は、あそこに置こう」青樹が指さしたのは
砂浜の先に有った、奥行きが、二メートルほどの、洞窟だった。
「俺は、濡れついでに、魚を獲って来る」緑は、そう言うと、疲れも見せず
腰に網袋を提げて、海の中へ、潜って行った。
緋芽は、傍にいくらでも有る、流木で火を焚く。
緑が、持って帰る魚を焼く為だ。
高い木に登って、寝床に敷く、大きな葉っぱを切り落としていた黒が
「森の中に、建物らしい物が有る」と、報告する。
「建物だって?」「うん、緑色に覆われていて、よく分からないんだけど」
「何だろうね」青樹も、木に登って、望遠鏡で見る。
「結構、大きな建物だよ、周りは、蔦で覆われているけど」
そう言う青樹に「近いのか?」と、銀が聞く。
「うん、一時間も歩けば、着くだろうな」
「じゃ、明日は、それを見に行こう」金が、明日の予定を立てる。
緑が、網袋一杯に魚を獲って来た。
「わぁ~大漁だ」皆は、大喜びで、早速捌き、生で食べたり
焼いて食べたりと、好きに食べる。
「これ、海老でしょ、大きいね~」緋芽が、目を丸くする。
「ああ、川や池の海老と違って、海の海老は、大きい物が多い」
緑は、その海老を、生のまま美味しそうに食べて言う。
緋芽と青樹は、その海老を焼いて「あち、あち」「でも、旨いな~」
と言いながら、パクパク食べる。
シュウも、生の海老が気に入った様で、何度も呉れと催促する。
「ちょっと森の中へ入っただけで、こんな物が、一杯有った」と
白が、黄色い房状の物を採って来た。
「これは、確か、バナナとか言う南で採れる、果物だよ」青樹がそう言う。
「へ~~バナナって言うのか」と、食べようとした時
いきなり、あたりが暗くなり、ザ~ッと、雨が降って来た。
「うわぁ~」皆は、慌てて洞窟に逃げ込む。
緑だけは、これで潮が落とせると、雨の中で、体をごしごし洗った。
雨は、暫く降ると止み、からりとした青空に戻った。
「夕立だったようだな」と、空を見た青樹は
「水が、まだ有るうちに、飲み水を探そう」と、言う。
「あ、それなら、滝が、左側の崖から、海へ落ちていたのが見えたよ」
緑が、海から見たと言う、滝を探して、皆は、森へ入る。
鬱蒼と茂る、木や草、足元の草を切り払いながら、皆は進む。
大きな、水音がするので、滝は、すぐに見つかった。
「凄い水量だな」滝は、そのまま海に落ちているので、滝壺は無い。
皆は、崖を登って、滝として落ちる前の、川へ行った。
「わぁ~綺麗な川」深い森の中に流れる、美しい川の水は、冷たかった。
「冷たくて、美味しいわ」緋芽は、手ですくって飲んで言う。
皆は、持って来た水入れに、たっぷり水を入れて、持って帰った。
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