草原を後に

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「森の中で、色々な鳥の声や獣の声がしたね」と、緑が言い 「南の島だから、知らない獣や鳥が居るんだろうな」と、黒も言う。 「今まで、会った事の無い、魔獣も居るだろうね」 金がそう言い、銀が頷く。 「今まで以上の、用心が必要だな」と、白が言い 「そうだな、今夜の見張りは、二人でしよう」青樹がそう言うと 「今夜は、俺がするよ」と、金が言い「俺も」と、銀も言う。 「じゃ、二人に頼もう、何か有ったら、直ぐに起こしてくれ」 緋芽は、洞窟の前に、大きな焚火を二つ作ると 洞窟の中の荷物にもたれて、眠る事になり、ほかの皆は 大きな葉っぱで屋根を作り、夜露に濡れない、木の上で寝る事にした。 空には、びっしりの星が瞬き「綺麗だな~」と、皆で見とれながら寝る。 真夜中になり、今度は黒と白が、見張りを交代する。 何事もなく夜が明け、皆は起きだして、森へ入る準備を始めた。 その時、緑が「何か来るっ」と、海を指さす。 波の合間に、三角のヒレの様な物が見えた。 「鮫か?」「鮫なら、浜へは上がって来ないが」と、見ていると 鮫なのに、牛の様な手足が有る、魔獣だった。 「来るぞっ」「レベルが高い!!気を付けろっ」 青樹が、大剣を両手で握って叫ぶ。 魔獣は、波打ち際まで来ると、ドドドドド~~ッと、一気に突っ込んで来た。 その魔獣に向かって「爆炎っ」と、緋芽が、炎の魔法を掛けた。 一瞬、足を止めて怯んだ魔獣だったが、身体を焼かれながらも まだ、突っ込んで来る。 今度は、青樹が「大氷結っ」と、氷の魔法を掛ける。 魔獣の体の、上部分が凍り付いた。 魔獣は、くるりと後ろを向くと、海の中へ逃げ込む。 逃げたのかと思ったが、魔獣は、暖かい海水で、氷を溶かして また、波打ち際まで来ると、がばっと大きな、口を開け まるで手裏剣の様な棘を、雨の様に浴びせて来た。 「うわぁ~っ」皆の身体のあちこちに、鋭い棘が刺さった。 「くそっ」と、棘を引き抜こうとしたが、棘には、返しが付いていて なかなか抜けず、無理に引き抜くと、大きな傷になって、血が噴き出る。 それでも、抜かないと何も出来ないので、皆は、無理に引き抜き 血だらけになる「回復っ、回復っ」緋芽が、次々と回復の魔法を掛け 皆は、回復した順に、魔獣に向かって行く。 また、鮫牛が大きな口を開け、棘を大量に吐き出した。 その棘に向かって、青樹が「大氷結っ」と、かけた魔法で 棘はすべて凍り付き、地面に落ちた。 棘の心配が無くなった皆は、一斉に攻撃を仕掛け、魔獣を弱らせる。 また、魔獣が、棘を吐いた、今度は緋芽が「爆炎っ」と その棘に炎の魔法をかけ、棘は、全部焼け焦げてしまった。 皆は、攻撃する手を休めず、鮫牛は、更に弱る。 「皆、もうちょっとだ、頑張れ!!」そう言った白の、ロープが 鮫牛の足を捕え、鮫牛は、がっくりと膝をついた。 「行け~~っ」皆は、ここぞとばかりに責める。 鮫牛は、最後の大暴れをし、皆は、傷だらけになりながらも 必死で戦い、とうとう魔獣をやっつけた。
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