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ハナに、種をくれた花屋のご婦人のことを聞いてみたけれど、
種だった頃の記憶はさすがにないそうだ。
花屋のご婦人に、話を聞けないものかと、
毎日帰宅途中で探していたのだけれど、彼女が再び現れることはなかった。
そして、数ヶ月後。
私は仕事のトラブル対応に追われ、忙しい日々を送っていた。
今日はやっと週末。
でも、飲まなきゃやってられない!
ということで、久々にお酒を買い込んだのであった……。
「あーーっ、もう疲れたーー!」
缶ビールをグビっと一口。
ハナの前で醜態を晒すのは、もう慣れっこだった。
「お疲れ様、好子。やっと週末ね」
ハナは人間と同じように、微笑んで労ってくれる。
植物──と言っても人型だけど──にリラックス効果が
あるというのは、こういう事なのだろうか?
「そうよ、やーーっと週末よ。やーーっと休めるのよ」
そう言ってハナの顔を見上げると、なんだか嬉しそうである。
「休みの日は好子と一緒にいられるでしょ?」
と、微笑むハナ。
なんてカワイイことを言ってくれるんだ君は!!
「平日は私、好子を待ってるだけしかできないから、
退屈で死にそうだもの」
「ぐはっっ!!」
ハナの心無い一言に、私はダメージを受けた。
退屈で死にそうとか、私も言ってみたいよ!!(泣)
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