caseB 草木好子 ハナ編

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「興味津々ね」 「だって、そんな事初耳なんだもの。  どうしてもっと早く教えてくれなかったの?」 「ある程度、信頼関係を結べてないと無理よ……。  あやしい人型植物に言われて、最初の頃の好子が素直に信じると思う?」  それもそうだ。  最初はその存在だけでツッコミばかりだったもんなぁ……。 「私が人間のようになるのは可能よ。でも、仕事を代わるのは無理。  なぜかというと、私はあなたとは別人格だから。  記憶を共有しているわけでもないから、  対人が必要となる仕事を代わるのは、好子にとってもマイナスになるわ」 「そ、そうか……」  少し、残念だった。 「でも、それ以外なら」 「それ以外……?」 「好子が、さっき言ったでしょ。一緒にお出かけしたり、  美味しいもの食べて、美味しいって言い合ったり。  あと、家の事なら私でもできるわ。掃除したり、料理したり」 「それって、私が働いてる間、家事をしてくれるってこと……?」 「そう」 「帰ってきたら部屋が散らかってなくて、  夕飯が用意してくれてあるってこと……?」 「そうよ」  それって……それって、最高じゃない!?  世の中は、働いていても家事は分担すべきだって言うけど、  ハナなら、自分の分身のようなものだから気兼ねなく頼める。  でも……ハナだって私とは違う。別人格だ。  押し付けるような形になってしまわないだろうか? 「本当にいいの? ハナに家事を頼んじゃって」 「言ったでしょう?」 「…………?」 「退屈で死にそうだって」  ハナにそう言われて、ちょっと殴りたくなった。
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