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ハナに言われて、一緒に朝ごはんを食べた。
が、ハナは少ししか食べていない。
「ハナ、それだけ?」
「うん、まだちょっと人間の体に慣れてなくて。
少しずつ慣らしていくね」
ハナはそう言って、水を飲んだ。
もしかして、元が植物だから、
まだ水がたくさん必要なのかもしれない。
「そうだ、好子。これからの事なんだけど……」
「うん?」
「好子が会社に行っている間、レシピを見たり、
世の中の事を勉強したりしたいから、好子の
パソコンを借りてもいい?」
「ええ、いいわよ」
ふと、ハナの足が気になった。
根っこだったものが、人間の足になり、素足だ。
私の物を貸してもいいけど、せっかくだからハナ自身の物も与えたい。
足に履くものを何かプレゼントしよう。
靴下にスリッパ。靴をあげれば、一緒に出かけられる。
「ハナ、外に行ける? 一緒に買い物に行こう!」
朝食後、早速、ハナに似合いそうな靴を買いに出かけた。
足のサイズ、形も私と同じなのだから、
私が買ってきても良かったんだけど、
やっぱりハナ自身に選んでもらいたかった。
それから、ハナの事をいろいろ決めたりした。
ご近所さんに会った時は、双子の妹、という事にしておいた。
あまりにも似すぎているから、じろじろ見られたけど。
あと、ハナは病弱で働いていない……という事にしておく。
いろいろと設定を決めておかないと、噂好きのご近所さんに
聞かれた時に困るからだ。
ハナと過ごす時間は楽しかった。
いつもおいしいご飯を用意してくれて、申し訳ないくらいだったけど、
ハナもだんだんと普通の食事ができるようになってきて……。
「美味しいね」
そう言うと、ハナはとても喜ぶのだった。
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