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「……ねぇ、おきて! 起きて…………!」
……ん? ハナ……?
どうしたの、そんな慌てて……。
「起きて、“ハナ”!!」
……あれ? ハナ……は、私か……。
ゆっくりと目を開けると、見慣れた姿があった。
「ハナ、今日はぐっすり眠ってたね!
朝ごはん食べてる時間ないから、もう行くね!」
「……えっ? …………えっ?」
待って、待って待って。
「どこに行くの、“好子”?」
「どこって、会社よ、仕事!
どうしたの? 寝ぼけてる?」
ああ、そうか。
今日は平日だもんね。
「体調は、もう大丈夫なの?」
「大丈夫よ。言ったでしょ、
ハナの作ったご飯食べて、寝たら良くなるって!」
「そう……。ごめんね、寝過ごしちゃって」
「たまには、そういう日もあるわよ。
じゃあ、“ハナ”、行ってきます」
そう言って、”好子“は仕事に行った。
……なにか、おかしい気がする。気のせいかな……?
体調が悪かったのは、好子。うん、好子だった。
でも、私は……?
私も昨日、体調が悪かったような……?
そう思いながら、玄関先を掃除しようとした時、
私の中で鮮明に記憶が蘇った。
“ハナ“の靴がない。
なぜ、ないのか? 決まっている。
たった今、履いていったからだ。
私は、大急ぎで彼女を追いかけた。
「待って!!」
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