caseA 草木好子 植木編

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caseA 草木好子 植木編

 えーと、たしか水の量は…………。  1日1回、霧吹きで少量って言ってたわよね。  私は、昨日ご婦人に言われた言葉を思い出していた。    霧吹きから、小気味よく水が噴き出る。  じわりじわりと、土に染み込んでいった。  早く大きくなれよーと、念じながら数日間水を上げた。  そして数日後…………。 「!?!?!?」  仕事から帰宅後、私の前に、目を疑うような事件が起きた。  なんと、知らない男の人が部屋に侵入していたのだ!  男の体型はぽっちゃりしており、髪は少々薄い。スーツを着ているところを見ると、サラリーマンだろうか……? 推定年齢は40〜50代かと思われる。  なんで!? どこから侵入したの!?  男は、立ったまま目を瞑っており、まるで寝ているように見えた。叫びたい気持ちを抑えて、気づかれないようにスマホを手に取る。警察に電話しようとするが、手が震えてうまく捜査できない。  その時、手元が狂ってスマホを落としてしまった。  あ! と思った時にはもう遅かった。  スマホは、カシャンと音を立てて落ちた。慌ててスマホを拾い上げる。 「ああっ、待ってください〜〜!」  落とした音で目を覚ましたのか、男が懇願した。 「ひいっ!? あ、あなた、誰なの!?」 「お、落ち着いてください!」 「今すぐ出て行って!! 警察を呼ぶわよ!?」 「で、出て行ってと言われましても、私、足がありませんので……」  足がない!?  どういうこと!?  おそるおそる下を見ると……。 「うわあああああ、  植木鉢から変なおっさん生えてるーーーー!!(涙)」  芽は!? 植物のかわいい芽はどこに行ったのーーーー!?
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