caseA 草木好子 植木編

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 もうダメだと涙した。  その直後、男はなぜか盛大に転んだ。  と、同時に、ガチャンと何かが割れる音がした。  暗がりの中で、何があったのだろうか……?  おそるおそる電気をつけてみると、男は転んだのではなかった。  なんと、男の上に植木さんが乗っていたのだ。  男は打ちどころが悪かったのか、気絶している。  植木さんは…………。 「う、植木さんっ!!」  植木さんは、倒れた拍子に植木鉢が割れ、足の根が剥き出しになっていた。 「好子さん……。怪我はありませんか?」 「わ、私はなんともないわ! それよりもあなたが……!」 「そうですか、好子さんが無事で良かった。  昼間いただいた栄養剤のおかげで、なんとか動けました」  動けるんだ!? と、驚いたけど、それどころではなかった。  植木さんを、元に戻さないと……!  私は、ちらばった土を集めようとしたが……。 「好子さん! 先に、警察に連絡ですよ!  私は、少しの間なら大丈夫です!」  そ、そうだった……!  私は、すぐに110番通報した。  警察は、すぐに来てくれた。男は途中で目を覚ましたようだけど、植木さんが上からガッチリと押さえつけてくれていたので、逃げられる事はなかった。  夜遅く何事だと、様子を見に来た近隣の人達に、事情を説明して何度も謝った。  犯人の男は、最近この辺りをターゲットにしていた強盗らしい。  運悪く、私の部屋のベランダに侵入したのだ……。  夜も遅いので、事情聴取は簡素に行われ、詳細は後日ということになった。  犯人が逮捕されて、ようやく静けさが戻った。
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