好きなBL作品🌹⦅小説編⦆

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好きなBL作品🌹⦅小説編⦆

引っ越しをするときは、持っている本を少なからず手放すことがあると思いますが、私も少し前に引っ越しをした時、かなりの本を手放しました。 しかしそういう時でも「これは持って行こう」と思う本というのはあるものです。 今日はそういった私の手元に残った本の中で、気に入っているBL作品を少しご紹介したいと思います。 何年か前に確かTwitterでも同じことをつぶやいた気がしますが、今回また改めて、より詳細に書いてみます。 まずは凪良ゆう先生の『お菓子の家』です。 私は音楽でも映画でも、広く浅くではなく、狭く深く触れるタイプなので 、凪良先生のご本もあまり多くは拝読していないのですが、 この作品は何度か読み返しています。 引っ越しのときも、迷わずに「持っていく箱」に入れました。 私は、いわゆるきらびやかで華やかな作品よりは、 静かで、人の心をじっくりと丁寧に描いた作品が好みです。 『お菓子の家』も派手さはありませんが、ユーモアと切なさとが絶妙に絡み合ったじんわりと優しいお話です。 パン屋の人々は様々な事情を持っていますが、明るく一生懸命に生きています。そして悲しい過去を背負っているからこそ、他人の痛みもとてもよく分かる温かい人たちです。 そういう人々に触れて、これまでひどく傷つけられ痛めつけられてすっかり頑なになってしまった孤独な青年が、少しずつ変わっていきます。その過程が丁寧に描かれ、読み手はいつしか彼の不器用で一途な恋が成就することを強く願ってしまうのです。 疲れている時でも、否、疲れている時だからこそ読みたくなるような、じんわりと癒されるお話です。 私は物語全体の面白さはもちろんですが、文章の一文一文に味わいがある作家さんや、地の文で笑わせてくれる作家さんがとても好きです。比喩の上手い作家さんもすごくいいな…と感じます。 凪良ゆう先生は私がそう感じる作家さんの中のお一人です。 なんというんでしょうか、ひと言で言うと、読んでいて小気味いいんですよ。ワクワクさせてくれるというか、ノせてくれるというか。 同じく凪良ゆう先生の『美しい彼』シリーズは、ドラマを先に見てから本を買い求めたので、割と最近になってから拝読したのですが、このシリーズは『お菓子の家』よりも更に先生のユーモラスな表現を楽しめます。なにより先生ご自身が楽しんで書いておられる感じが伝わってきます。 平良(ひら)のズレっぷりが本当に面白くて、確実に相思相愛なのに見事に食い違っている感じが、先生のノリに乗った(けれど絶妙に抑制の効いた)筆致で描かれています。 しかしもちろん、甘さも切なさもしっかりとあって、さらに二人が互いを刺激しあいながら自分を高めていくところも見られて素晴らしいなと感じます。 個人的には清居(きよい)が役者としての厳しい壁にぶち当たり、それを乗り越えて一回り大きくなるまでを描いた『悩ましい彼』が好きです。 あとはこのシリーズの番外編集である『interlude』も好きです。 その中でも「エターナル」は本当に面白くて、笑えて何度も読み返しました。 エンターテインメントとはこうあるべきなんだな、と反省しつつ、勉強にもなっています……。
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