神々のゲーム

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「おめでとうございます。あなたは神々のゲーム、『リアルライフシミュレータ』のプレイヤーに『選ばれました』」 『ディーラー』はそう言った。私の目に映る彼は、まるで悪魔だった。カメレオンの頭、烏の羽、鋭い鉤爪に鱗があるが人間の手の形をした手。それでいて、何の変哲もない黒の背広に身を包んでいた。 「どんなゲームなんだ、それは」 「あなたには、普通の人生を歩んでいただきます」 「それじゃ、ゲームにならないじゃないか」 「もちろん、続きがあります。あなたには一個、特別なサイコロが与えられます。その出目に応じて様々な運勢が訪れます」  そう言ってサイコロを差し出すディーラー。  角が心なしか丸くなった六面体のサイコロで、地の面は黒くて光沢がなく、2から6までの目は黄白色で象牙のような光沢を放っているが、1の目だけが赤い色をしていた。手に持って振るとカタカタと小さな音を立て、中に何か仕掛けがあることを窺わせる。 「もちろん普通のサイコロではありません。六分の一の確率で大きな不幸が訪れるなどと言ったら、誰も振りませんからね」
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