神々のゲーム

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 ——1の目の赤いボタンを私は強く押し込む。 「ギブアップなさいますか」  途端に、どこからともなく現れるディーラー。 「ああ。酷い不運だった。未曾有の大災害と、それに伴う世界的金融危機の煽りで株は焦げ付き、会社は倒産。妻は男と蒸発。愛人も全員逃げていった。幸運は全部台無しだ。リセットだ、元の自分に戻してくれ」 「何を仰っているのですか?」 「この赤の目がリセットボタンだと、そう言っただろう」 「このリセットボタンには、そんな仕組みはありませんよ」  それから、ディーラーは真実を告げる。 「これは神々のゲームだと、そう言ったでしょう。あなたがいつゲームから降りて、幸運なまま人生を終わるか、サイコロを振り続けて不運を引き当てるか、上位存在による賭けが行われていたのです。あなたがサイコロを振った回数は五百十二回。これであなたの駒としての役目は終わりです。それでは」  それだけ告げると、跡形もなくディーラーも、それからサイコロも消えてしまったのだった。
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