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「もしかして坂口くんて、一度はまると一定期間ずうっと食べ続けるタイプ?」
「あはは、実はそう」
こんなに親密な雰囲気になったことなんて、高校の時には一度もなかった。
もしかして、ちょっとは期待していいんだろうか。
俺の好意が彼女に届くかも知れないって。
「ホイップクリーム苦手なのもだけど、ほんと変わらないね」
その何気ない一言に、恭平はかすかな違和感を覚えた。
なんで、俺がホイップクリーム苦手だってこと、彼女が知っているんだろう?
「お待たせいたしました」
プリンに手をつけない恭平を見て、美雨は眉根を寄せる。
「坂口くん、食べないの?」
恭平はぎくしゃくしながら笑顔を作る。
「あ……うん、食べるよ。食べよう」
胸の中に残る疑念は、美味しいプリンを食べても消えなくて。
結局、恭平は美雨に告白しなかった。
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