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5.突然の別れ
翌日、入学して初めて、恭平は午後の講義をサボった。
いくら気になるからって、こんなストーカーまがいな行動していいのか、俺。
目的地の近くでうろうろしながら、自問自答する。
「美雨」
遠くから、そんな声が聞こえて、恭平は顔を上げる。けれどすぐに、電車に乗って家に帰った。
そしてまた雨の降る日がやって来た。
バイトは休み。恭平は、ある決意を胸に美雨が待つカフェへと向かう。
「喜多嶋さん」
美雨は、嬉しそうに微笑む。
「坂口くん」
「中に入ろう」
恭平は美雨の背中に触れて、彼女もその手を当たり前みたいに受け入れる。
美雨の前にミルクレープとホットの紅茶、恭平の前にはなめらかプリンとアイスコーヒー。
「いただきます」
至福の表情を浮かべる美雨に、恭平は微笑みかける。
「喜多嶋さん、このあと時間ある?」
「うん」
「じゃあ、少しだけ俺に付き合ってもらえないかな?」
美雨はこくりと頷く。
「……いいよ」
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