エピローグ

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コンコン。 病室のドアを軽く叩くと、ベッドの上に横たわる邦彦が顔だけこちらに向けた。 「……よっ、見舞いに来たぜ」 わざとおどけた口調でそう言ってから、ベッド脇のパイプ椅子に座った恭平を見て、邦彦は穏やかに微笑む。 「意識が戻ってて良かったよ」 「久しぶりなのに、心配かけてごめん」 「邦彦の姿ではそうだけど、本当は久しぶりじゃないよな」 その言葉に、邦彦の笑みは消えた。 「あのカフェで俺が会ってた、“喜多嶋さん”は、邦彦だったんだろ?」 最初に会ったのは、邦彦が事故に遭ったのと同じ時期。 スマホが壊れてしまった理由は、車に轢かれたから。 邦彦の話をした時、とても悲しげな表情になったのも、恭平がホイップクリームが苦手だと知っていたのも、眼鏡の奥の瞳をずっと前から知っている気がしたのも。 我ながら非論理的だけど、自分が会ってた“美雨”の正体が邦彦だとしたら全てが繋がる。
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