1.偶然の再会

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数分後、お洒落な内装のカフェに入ったふたりは、木の温もりが感じられるテーブルをはさみ向かい合っていた。 店内は女性客のグループかカップルばかり。 自分ひとりでは敷居が高かったであろう空間で、こうして一緒にいるのがなんだか不思議だ。 「坂口くん、頼むもの決まった?」 まだ店内の雰囲気に慣れない恭平が「あ……おう」と答えると、彼女は手を上げて店員を呼んでくれた。 注文した商品を待つ間、美雨は穏やかに微笑み口を開く。 「なんか、久しぶりに会った感じだね」 「まだ卒業して3か月しか経ってないのにな」 同じ教室で、挨拶以外ろくに言葉も交わすことも出来ず、けれど恭平はいつも視界の片隅で美雨の姿を捉えていた。 さらさら風に揺れる黒髪。細い肩。 目の前にいる美雨は、高校の時とどこも変わっていない。 恭平の胸に、あの頃の淡く甘酸っぱい感情がよみがえる。 「お互い東京の大学に進学したのは知ってたけど、こうしてばったり会うなんてびっくりだよ」 「……だな」 「坂口くんこれからバイトなんだよね。時間大丈夫?」 「出勤まであと2時間あるから平気」 ほんと、今日5限休講になって、雨が降ってくれて良かった。 我ながら現金だけど、外れてくれた天気予報にまで感謝したい気分だ。
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