1.偶然の再会

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「お待たせいたしました」 美雨の前には、つやつやとしたフルーツタルトとホットの紅茶。 そして恭平の前には、なめらかプリンとアイスコーヒー。 「わあ、キレイ!」 目を輝かせながら控えめにはしゃぐ美雨。 こんなちっこいデザートと飲み物だけで1000円するとかありえねえ。正直そう思っていたけれど、こんな笑顔が見られるなら十二分にありだ。 「いただきます」 ふたり揃って手を合わせてから、デザートを口に運ぶ。 「……おいし」 「……うんまっ」 なめらか、ってかとろりとした口あたり。 こってり濃厚な甘さ。 プッチンするやつとは全くの別物だなこれ。 なにかしゃべるとこの美味しさが逃げていってしまう気がして、ついつい会話がおろそかになる。 ふたりの間に流れるのは沈黙ばかり。 だけど不思議と居心地はいい。 やっぱ俺、今も好きなんだな。喜多嶋さんのこと。 丁寧にタルトを食べる美雨に見とれながら、恭平は思う。 告白出来ずじまいで終わった初恋の人と、広い東京の街でばったり会えるとか、こんなチャンス二度と巡って来ないかもしれない。
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