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注文した商品を待つ間、恭平は忘れないうちに連絡先を訊くことにした。
「喜多嶋さん。連絡先交換しない?……ほら、今日みたいに待たせちゃうと申し訳ないし、お互い連絡出来た方がいいかと」
下心がないことをアピールしようとして、回りくどくなってしまった恭平の問いに、美雨は申し訳なさそうな表情で答える。
「ごめんなさい。ついこないだスマホ壊しちゃったばかりなの。しばらく買い換えにも行けないから、雨が降った日に今日くらいの時間に待ち合わせでいいかな?」
そんな目で見つめられたら、ダメなんて言えるわけがない。
「わかった。じゃあバイトある日でも一旦このくらいの時間に来るよ」
これ以上は食い下がらないことにした恭平に、美雨はふわりと微笑みかける。
「ありがとう」
「お待たせいたしました」
美雨には、イチゴのショートケーキとホットの紅茶。
そして恭平には、ベイクドチーズケーキとアイスコーヒーが運ばれてきた。
「いただきます」
ふたり揃って手を合わせ、ケーキを口に運ぶ。
「……おいしい」
「……うんまっ」
なんかこないだと全く同じこと言ってる気がするけれど、“旨い”以外の感想が出てこないのだから仕方ない。
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