2.曖昧な約束

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「喜多嶋さんは、東京(こっち)来てからどう?」 「うーん、ひとり暮らしにようやく慣れたとこだし、まだ緊張してるかも。ほら、東京(こっち)だと星があまり見えないじゃない?そういう時、無性に地元が恋しくなるの」 恭平の脳裏に、故郷の空に輝く星たちを見上げた記憶がよみがえる。 「でも受けたい講義もたくさんあるし、なんだかんだ充実してるかな。……坂口くんは?」 空気がきれいで、いつも穏やかな時間が流れていた地元での生活。 恭平にはそれが窮屈なものに感じられて、親の反対を押しきって東京に出てきた。 東京に来たら、解放感のある刺激的な毎日が送れるような気がしていたけれど、実際は大学とバイト先と自宅の往復だけで、交友関係も広げられない退屈な毎日。 「ん……まあ、ぼちぼち、かな」 もやもやとした気持ちと一緒に飲み込んだチーズケーキは、さきほどと変わらずやっぱり美味しかった。
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