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「あんた方の連れかい?  この下衆野郎は。  とんでもない交友関係だね。  まるで野盗のように  彼女を掻っ攫って  慰みものにしようと  していたんだぜ」 男の言葉に 「しゅ、主人がそんな…」 鵜沼夫人はなんとか 夫を庇おうとするが 衣服の乱れたくりの風に 紹子も兼貞も言葉はなかった。 「彼女に謝れ!下衆!」 男の怒号に 「ふんっ!小作の娘に  小銭でも恵んでやろうと  思ってしたこと、なんで  謝罪なんぞ…お、お前こそ  これだけの怪我を  私にさせてタダで済むと」 血の滲む頬を抑えつつも 鵜沼は悪態を。 「ああん?なんだって?  まだ痛い目にあいたい…」 男が鵜沼に迫ろうすると 鵜沼は子供のように 身を縮ませて震えた。 「ハハハ、そこまでだ、  晋太郎くん。」 爽やか声が抜けて 一同がそちらを向くと またしても別の若い男。    
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