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食事の最中、
(“平民”…平民というには)
教養といい、マナーといい
明日にでも殿へ上がり候とも
見劣りしない晋太郎の様に
兼貞も目が離せなかった。
だから、酒の時間になり
『書画骨董が好き』という
晋太郎を連れて所蔵庫へ
紹子が案内している間に
「いったいどういう
人物なんだね?
“八嶌晋太郎”とは」
鈴之介に尋ねた兼貞。
「播州の地主・八嶌家の
跡取り息子です」
「八嶌…八嶌と言えば
その辺りの小粒大名なんぞ
足元にも及ばぬ大地主…
当代は文武にも長けた方だと」
「さすがは実業家・兼貞公、
世事に明るくていらっしゃる。
晋太郎は今、帝大で
農学や法学を学んでいます」
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