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「君…あのときの…」
「あのときは…本当に
ありがとうございました。
ちゃんと御礼を言いたくて
紹子様にお願いを」
「だったらここで
働いて戴くのも
宜しいかと、昨日から
屋敷にいて貰ってますの」
「あの“下衆”は…」
「お陰様で鵜沼様とは
縁を切れて清々ですのよ」
「いや…不思議でした、
今泉様にしては
“下品な交友”だと」
「兼貞様のお父上が、
御維新の折には
鵜沼様の父君とは
生死を共にされ…
たいそう恩がお有りとか」
先代鵜沼男爵が、兼貞の父と
兼貞に、不肖の息子を
頼んで逝去と…
紹子は聞いていた。
けれども…
「今度のことばかりでは
ございませんのよ、
あの方の“悪い癖”」
おそらくは女性の口から
説明の出来ぬ悪行三昧と、
晋太郎には察しがついた。
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