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“身を捩るほど刹那い”
とまでは云わない…。
ただ…せめて
(兼貞様のために
装いたいと…
紅を指したいと…
わたくし…思ってはいない)
それが紹子の引っ掛かり…
で、あるから
「床を一緒にするのは
式のあとで構わない」
遊び人の兼貞に
それを言わせた…
の、かもしれぬと
紹子は思うのだった。
しかし…
(考えてもしようはないわ…)
来春の輿入れまで…
輿入れしてもなお…
こうして…毎日を
面白可笑しく振る舞う以外
紹子に生きる道など
(どこにもありはしない)
…のであった。
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