6/14
82人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
“身を捩るほど刹那い” とまでは云わない…。 ただ…せめて (兼貞様のために  装いたいと…  紅を指したいと…  わたくし…思ってはいない) それが紹子の引っ掛かり… で、あるから  「床を一緒にするのは   式のあとで構わない」 遊び人の兼貞に それを言わせた… の、かもしれぬと 紹子は思うのだった。 しかし… (考えてもしようはないわ…) 来春の輿入れまで… 輿入れしてもなお… こうして…毎日を 面白可笑しく振る舞う以外 紹子に生きる道など (どこにもありはしない)       …のであった。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!