18:00

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18:00

「今日の学校はどうだった? 楽しかった?」 「んー、普通かな。特記事項無し、って感じ」 「なにそれ。まあ、何事もなく過ごせたのは何よりだね。……はい、どうぞ」 「いつもありがとっ」  周はいつものように絢夏を居間に通すと、急須で入れた緑茶と、せんべいやクッキーなど和菓子も洋菓子も混ざって入ったお菓子鉢を持ってくる。 「あ、そうだ。お母さんから言付け頼まれてたんだった」 「え、水野さんなんて言ってた?」 「道の駅にまたお花とか手作り雑貨持ってきて、ってさ。けっこう品物がはけてるから」 「そっか、わかったよ。ちょうど明日作ろうと思ってたんだ。近いうちに持っていくよ、って伝えておいて。……あ、そうだ。絢夏ちゃんも作ってみる? 明日学校お休みでしょ」 「え、いいの?」 「いいよ。前に作りたいって言ってたでしょ」 「そうだけど……えっと、他には……誰か来ないの?」 「え、来ないよ? いつも作品作りは1人でやるから、絢夏ちゃんだけ」 「……そっ、か。……じゃあ作る! 作りたい! いつからやるの?」 「午前中からやってるから好きなときにおいでよ。準備ができ次第始めてるから」 「やった、じゃあまた明日も来るね!」  2人が微笑み合うと、18時を伝える”家路”のメロディーが、町内に響き渡る。それと同時にポタ、ポタ……と、雨が降ってきた。
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