1人が本棚に入れています
本棚に追加
アグレシブ
「父の一周忌に間に合うように
墓を作ったのよ」
「えっ?そんなに早く出来るモノなの?」
「亡くなる前にね、お坊さんの目星つけて
それから、墓石屋を回って…。
ほら、うちの近所に全部そろってるでしょ?」
「まぁ…確かに小さな町だから、全部揃ってる」
「でしょ?
家の裏が墓だし。
母に毎日でも、墓参り出来るように。
父が好きだった音楽的なデザインを考えて、
プロのデザイナーに手直しして貰って
一気に搬入して貰ったの。
凄く忙しかったけれど、
思い通りの墓石も出来て
凄く満足してるの」
「良かったじゃない?
お母さんも喜ばれてるでしょ?」
「あれだけ仲のいい夫婦だったから
毎日でも墓参りするかと思ったら、
まぁ~たく、してないのよ。
呆れた。
でも、これで、
弟が入る場所も出来た事だし
安心した」
「昔から、全部一人でやるタイプだったけれど
変わらずアグレシブにやったのね」
「それが取り柄だから」
故郷の親は、一緒に歳を取っていきます。
それが儚く切なく、悲しく…嬉しいという。
誰もが行く道だけれど、誰かは、いてくれる(苦笑)
2023.8.6(日)記
最初のコメントを投稿しよう!