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「立珂様。おやつをどうぞ」
「ちょうづめ!」
美星が持って来た皿にはどっさりと腸詰が乗っていた。中には白い物や赤みのある物もあり、多種多様揃えてくれたようだった。
だがそれにしても多い。立珂は一食で三本から五本食べるが、軽くニ十本は乗っている。
「おやつにしては多くない?」
「成長期は栄養が羽に回るのでその分お腹が空くんですよ。食べる頻度も多くなるのでこれくらい置いておく方が良いのです」
「へー。立珂どれ食べる?」
「んっとね、んっとね」
立珂は目をらんらんとさせて身を乗り出したが、その時ぐううううと立珂のお腹が鳴った。
「んにゃっ!」
「健康な証拠ですね。さあどうぞ」
恥ずかしかったのか、立珂は顔を真っ赤にして薄珂にしがみ付いた。けれどそれも周囲からすれば愛らしい限りで、よかったよかったと皆立珂を褒めてくれた。
立珂は差し出される腸詰を次々に頬張り、軽く十本はぺろりと平らげた。
腹を壊さないか心配になるほどだったが美星が言うにはこれが普通だという。他にも有翼人の侍女が自分はもっと食べてたと経験を語ってくれる。有翼人の生態を知らない薄珂には心強いことこの上ない。
そうしているうちに、満腹になった立珂は眠くなったのか、こくりこくりと頭が揺れ始めた。薄珂がそっと抱き寄せるところりと膝に横たわった。
「寝ちゃったな」
「成長期はお昼寝も多くなりますからね」
「どうしようかな。午後は護栄様のところに行くつもりだったんだけど」
「戸部なら露台があるのでお連れ頂いて大丈夫ですよ。私がお傍におりますので」
「本当? じゃあそうしようかな」
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