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「そっか。じゃあ大丈夫なんだ。よかった。成長期終わったらまた元に戻る?」
「個人差があります。このままの場合もありますし元に戻る場合もあります。ですがここから成長するのでいずれは戻るでしょう」
「だがいきなり五歳分成長したりはしない。だから有翼人は外見が実年齢より幼い者が多いんだ」
「へえ~。中身は? 中身もちっちゃいのかな」
「これも個人差がありますね。立珂様いかがですか」
「わかんにゃい」
「あ、舌足らずだ。可愛いぞ立珂!」
異常が無いと分かって安心した薄珂はいつものようにぐりぐりと頬ずりをした。外見が変わっても弟を溺愛する姿は変わらない。立珂も幸せそうにきゃっきゃと笑い、小さくなった手で薄珂にしがみ付いている。
「それより薄珂様は宮廷業務をどうするか考えなくては。今まで通りとはいきません」
「殿下と護栄様に相談した方が良いだろう。少し早めに行きなさい」
「うん。でもその前に」
「おきがえ! ちっちゃいからちっちゃいのきれる!」
「だな。新しいお洒落を考えなきゃ」
立珂は毎日どんな服を着るか、時間をかけて選んでいる。必ず組み合わせを変え、そうすることで一度として同じ服を着ていることはない。
しかも小さくなった今、以前と同じ服を着ることはできない。必然的に新しいお洒落が必要になり、立珂はいっそう目を輝かせていた。
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