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「だめー!」
「うわっ」
「はっかはぼくのだからだめ!」
立珂はぷうっと頬を膨らませて、ぎゅうっと薄珂の頭を抱きしめた。
その可愛い嫉妬はあまりにも可愛くて、薄珂はぎゅうっと立珂を抱き返した。
「大丈夫だ。俺は立珂が一番大事だ!」
「ぼくもだよ。だからはっかはぼくのだよ」
「じゃあ立珂も俺の立珂だ」
兄弟はすりすりと頬ずりをしているが、その様子を天藍は不思議そうにじっと見つめている。それに気付いた立珂は再びぷうっと頬を膨らませた。
「だめだよ。だめ」
「い、いや、じゃなくて。立珂小さくないか?」
「あ、そうそう。その話しにきたんだ。成長期なんだって。有翼人は一度小さくなるんだ」
「ああ、そうか。そうだっけな」
「可愛いでしょ。ちっちゃい立珂だよ」
薄珂は自慢げに立珂を見せ付けると、天藍はぷにっと立珂の頬を突いた。しかし立珂は眉間にしわを寄せ、ぷんっと顔を背けて薄珂の肩に顔を埋めた。
いやいやしながらしがみついてくる立珂が可愛くて薄珂の頬は緩みっぱなしだ。
天藍はくすっと笑みをこぼし、ぽんっと薄珂の背を軽く叩いた。
「ちょうど護栄も来たところだ。顔を見せてやってくれ」
「うん。お邪魔します」
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