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授業中も休み時間も、メグの視線は1人の男子に注がれていた。瀬崎ヒロ。中性的な顔立ちのイケメンで、勉強は学年トップクラス。性格も良く、生徒からも教師からも人気がある。メグだけでなく、クラス中の女子がヒロに夢中だ。
飽きる事なく熱い視線を送った所で、メグの想いが通じるはずがない事は、彼女自身よく分かっている。何せ、メグはクラスの三軍女子なのだ。可愛い訳でもなく、勉強もスポーツも普通。性格さえ明るければ上のランクに行けたのかもしれないが、無口で人付き合いも苦手。あまりに地味すぎて、その存在にさえ気付かれていないのではないかと思うぐらいだ。そんな空気のような存在の視線など、無に等しい。ヒロの傍に近付けるのは一軍の女子だけ。昼休みになると、メグにとっては別世界の人間とも思える明るさと美貌を持つ一軍女子達が、一斉にヒロを取り囲む。彼女達はそうやって、ヒロを自分だけのものにする為に必死に競い合っている。メグが入り込む隙などあるはずもない。でも、それでよいのだ。女同士の陰湿な争いなんて関わりたくもないし、見たくもない。メグは盛り上がる取り巻きに一瞥もくれず、足早に教室を後にした。
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