列車

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『ご乗車ありがとうございます』  ガタガタと揺れる車内。キーと鳴る線路と車輪。徐々に加速する列車。 『次は、冥界。冥界』  少し音質の悪い車内放送が僕を夢から覚ませた。 「めい、かい?」  冥界ってあの冥界?  慌てて頭を上げる。バコンッと大きな音。それと同時に重い痛みが後頭部に走った。 「痛ってぇ!」  頭を両手で抱える。数秒そうしてから、今度はゆっくり頭を上げる。  そして後ろを振り返る。 「は?これ……」  窓の外は深い緑だった。  いや、緑の棒が沢山立っていた。しかもよく見ると棘が生えている。刺さったら確実に血が出る位鋭い棘。そう。それはまるで、 「薔薇みてぇだな」  薔薇の茎。
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