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家に着いて座っているとあっくんが飲み物を用意して持ってきてくれた。
隣に座ったあっくんは、僕の前髪を退けて顔を覗き込んできた。
「なんで泣きそうな顔してんの?
元気ないから家に着いてから聞こうと思ってたんだけどあいつらに何か言われた?」
「違うよ、何も言われてない」
慌てて首を横に振る。
「嫌な事があったら言えって前に言っただろ?
話したくないなら無理にとは言わないけど
あおが元気ないと心配になる」
ギュッと抱きしめてくれた。
あっくんの優しい言葉が僕の心に染み渡る。
こんな事聞いてもいいんだろうか……。
恐る恐るあっくんを見て問いかけてみる。
「あっくんはさ、今まで女の子と付き合ってきて、エッチもしたことあるでしょ?」
キョトンとした顔でこちらを見ている。
「女の子としたくなったりするのかなってふと思って、考えだしたら不安になってきて……」
話していると涙が出そうになってくる。
あっくんはちゃんと否定してくれるって思うけど、一度芽生えた不安は簡単に消えない。
あっくんが僕のほっぺたを両手で摘んだ。
「いだい……」
「馬鹿なこと言うからだろ?
あおのバカバカバーカ」
「ゔっ……」
「俺が否定するの分かってるくせに」
「……」
「もう俺、あおじゃないといけないし
こんな体にしたのあおだからな?
責任取ってもらわないと困る」
「ゔ……」
「女を抱きたいなんて全く思わないよ
あお、好きだよ」
その言葉に安心したのかボロボロと涙が零れ落ちる。
「不安になったらまた言ってくれればいい
何回も否定するし、何回でも好きって言うから」
「うん……うん……」
嬉しくて言葉にならない。
涙が溢れて止まらない。
「そういうあおはどうなんだよ?
女としたいとか思うわけ??」
「ぞんなわげないじゃん
あっくんにじが勃たないんだがら」
泣きながら必死に捲し立てる。
「あおは俺のこと大好きだもんな?」
「大好き」
そう言って僕はあっくんに抱きついた。
あっくんが優しく背中を撫でてくれる。
不安になったらまた言えばいい。
その言葉は僕の心を軽くしてくれた。
「落ち着いた?」
「うん、ごめんね」
あおは泣き虫だなーと笑いながら涙と鼻水を拭いてくれた。
「ありがと……」
やっぱり好きだな。
改めて実感する。
ぼーっとあっくんの顔に見惚れていると……
「エッチする?」
あっくんがニヤリと笑って言った。
「する!!」
「ハハ、即答かよ
元気になった?」
「うん、元気になった」
「ここも?」
そう言って僕の股間をいやらしい手つきで弄る。
「うん、もっともっと元気になるよ?」
そう囁やいて僕はあっくんにキスをした。
その日の夜はいつもより少し盛り上がって、翌日あっくんをしばらく動けなくしてしまった。
月曜日、あっくんのお友達から謝罪された。
何もされてないのにと言うと、余計な事を言ってあおを不安がらせたと怒られたそうだ。
何だか申し訳ない。
僕はひたすら謝って、向こうもひたすら謝る。
おかしな光景がしばらく繰り広げられた。
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