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体育の授業が終わり後片付けをしている時だった。
まただ。
最近妙に視線を感じる。
顔をあげるといつもそこには決まった3人組がいる。
見た目は怖いが顔面がとにかく整っている先輩達。
いつも女子が周りにいて、キャーキャー騒がれている。
その中でも群を抜いて目立っているのが、金色の緩やかなウェーブがかった髪を無造作にまとめて、モデルでもやっているのではないかと思わせる抜群のスタイルと顔面を持つ男だ。
相変わらず目立つ人達だな。
一瞥して後片付けに戻る。
「蒼生、終わった?」
「うん、終わった
もうみんないないじゃん」
「蒼生が全部やっちゃうから
そんなにやらなくてもいいのに」
「ごめん、お腹空いたね
ご飯食べよ」
「うん」
先輩達とすれ違う。
また視線を感じた気がして横目で見ると、金髪の先輩がこっちを見ていた。
怖い。
慌てて目を逸らして早く行こうと声をかけて足早に立ち去った。
心臓がバクバクしている。
視線を感じて顔をあげると先輩がいるという事はその後も続いた。
何か気に障ることをしただろうか。
不安が日増しに募る。
特に関わりはないはずなのに。
「ふぁー」
あくびをしながら駐輪場へと向かって歩く。
寝不足で頭がぼーっとする。
寝る前に漫画読むんじゃなかった。
ドン
「うわ!!」
勢いよく人にぶつかった。
「おい、どこ見て歩いてんだよ
このやろ……」
「すっすみません……」
メガネがない!!
どこへいった!?
ぶつかった人をそっちのけにしてメガネを探す。
「探してるのはこれか?」
先程ぶつかった人がメガネを持ってしゃがみこんでいる。
「そうです!
ありがとうございます!」
メガネを返してもらおうと伸ばした手は、引っ込められた眼鏡に届くことなく空を切り体勢を崩してしまう。
何をするんだと言おうとして勢いよく顔を上げた弾みで前髪が乱れて思いっきり目が合ってしまった。
毎日見る金髪の先輩が目を見開いて凝視している。
前髪!!
慌てて前髪を元に戻して下を向く。
「こいつモサ男だよな?
めちゃくちゃかわいい……」
彼が何かを呟いた。
次の瞬間僕の両手をギュッと握りしめて信じられない事を言った。
「なぁ、俺を抱いてくれないか?」
オレヲダイテクレナイカ???
何それ、聞いたことないワードなんですが??
「……はっ?」
これが金髪の先輩と初めて言葉を交わした瞬間だった。
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