19人が本棚に入れています
本棚に追加
「あの子を早く、パズルの世界に閉じ込めるんだ」
早朝、赤髪で黒色タキシード姿の男は本棚の上に佇み、ルービックキューブを回している。
「あの子はやっかいだ」
カチカチカチ。
彼の持つルービックキューブは白色、黄色、青色、赤色、緑色、橙色が見え隠れしている。
カチカチカチ、カチ。
彼のルービックキューブは見事に全ての色が揃った。
「天野柑奈ちゃん、これでさようならだね」
彼は微笑んだ。
***
二回目の事件から二日たった金曜日の昼休み、学校の図書室には人がいなかった。図書室内の奥には会話しても大丈夫な会話スペースという場所があり、柑奈と桃李は、雲パトに乗る梅吉の話を聞く。
「警察手帳は再発行できない?」
桃李は梅吉に尋ねる。
「そうじゃ。もともと警察手帳は貴重なものなのじゃ。なくしたとなったら悪用される前に必ず見つけ出さなければならない。見つからなければ処分の対象になるのじゃ」
柑奈は首をかしげながら言った。
「処分って、警察官としての仕事をできなくなるということ?」
梅吉は頷いてから答えた。
「そうじゃ、さすが柑奈ちゃん」
最初のコメントを投稿しよう!