19人が本棚に入れています
本棚に追加
赤信号がこんなにも長く感じるなんて。何度クラクション鳴らされたかな。お願いだから絶対に降りてこないで!
フロントガラスの向こうには、夕暮れ時のカラスがのんきに飛んでいる。こんなに待ち望んだ青信号は、二十三年の人生で初めてだ。あぁ……信号機のライトがエメラルドのように輝いて見えます。
早く、早くこの場を去りたい。でもカマロが追いかけてくる。
焦って自分が事故ってしまったら元も子もない。そういえばもうすぐ片側二車線になる。そこでカマロが私を追い抜くだろう。どうかそれまでカマロさま冷静であれ。
パッシングもクラクションも、ずっと続いている。しつこいよ、カマロ!
やっと片側二車線に……。これでやっとカマロの呪縛から解き放たれる……。私の目元は嬉し涙で潤む。
そして、左側の車線を走る私の横をカマロが通り過ぎ……ない!?
怖くて右側は見られない。でもカマロの圧を感じる。完全に私たちは並走している。なんでよ〜!
チラッと見たら、隣で左側の窓が開いている。運転手らしき人が何やら叫んでいる。
イヤーー! 怖いからーー!
窓は閉め切っているので、何を言ってるのかは分からない。でも何か言ってるんだろうということは分かる。だから怖い。どうしてこんなことに……。
最初のコメントを投稿しよう!